「クラウドゲート株式会社(元:テラネッツ)」が何故上場廃止決定したのか


本日、一社上場廃止が決定しました(現在経営再建中ではありますが、倒産ではありません)

社名はクラウドゲート株式会社。理由は有価証券報告書の虚偽記載が市場に対する信頼を著しく毀損するものであり、その影響は重大であると認められたこと及び新規上場申請に係る宣誓書において宣誓した事項について重大な違反を行ったことが認められるためです。
上場廃止決定日が本日で、整理銘柄指定期間が平成24年2月22日から平成24年3月22日までで、上場廃止日は平成24年3月23日となります(整理銘柄指定期間及び上場廃止日は速やかに上場廃止すべき事象が発生した場合は変更されることがございます)

札幌証券取引所による当社株式の上場廃止の決定及び整理銘柄指定に関するお知らせ(クラウドゲート社IR)

この社名ですと知らない人は結構多いかと思いますので旧社名で言うと株式会社テラネッツです。
古くはメールトークRPGやウェブトークRPG等を主たる事業とし、多数のクリエイターを要して様々な外注仕事を割り振るビジネスを展開しておりました。そのため、新鋭のクリエイター方々であればその社名を存じ上げている方もいらっしゃるかと思われます。
そんなクラウドゲートが上場廃止。何故上場廃止したのか簡単に説明していきたいと思います。

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クラウドゲートは平成19年2月に札幌証券取引所アンビシャス市場に上場いたしました。その際の直近決算は売上高4億、経常利益6.6千万円、当期純利益6.0千万円と手堅い決算でした。

更に平成19年12月期も売上高5.6億、経常利益5.4千万円、当期純利益5.6千万円と増収減益ながらも手堅い決算を出しておりました。同社の決算が大幅に狂ったのは平成20年12月期でした。公営競輪ビジネスを展開するために買収した株式会社チャリロトの事業化が進まず大幅な特別損失を計上し、平成20年12月期の決算において、売上高5.8億円に対して当期純損失11.4億円を計上するに至り、規模の割には潤沢にあった純資産も枯渇し、一転して債務超過(資産-負債=マイナス)に追い込まれました。

その後、株主からの支援及び子会社であったチャリロトの売却等によって再建を目指しておりましたが、再び平成22年12月期で多額の損失を計上。
更にその後、平成23年10月に前経営陣が不適切な会計処理を行なっていた疑義が生じたことで第三者委員会を設置し調査いたしました。

その第三者委員会の調査結果は散々たるものでした。

○ 上場前から行われていた粉飾決算

先程、手堅い決算とお話しいたしましたが、上場前より既に粉飾決算を行なっておりました。
内容としては、架空取引及び存在しない資産を計上していたという非常にシンプルなものです。
しかし、金額が物凄い。粉飾額は下記の通りです。

平成18年12月期 会社発表   訂正後    影響額
売上高     403,025千円 337,225千円 △65,800千円
経常利益     66,467千円 △33,666千円 △100,133千円
当期純利益    60,782千円 △89,822千円 △150,605千円

平成19年12月期 会社発表    訂正後    影響額
売上高     561,850千円  366,850千円 △195,000千円
経常利益     54,438千円 △101,715千円 △156,154千円
当期純利益    56,391千円 △162,082千円 △218,473千円

金額からすれば大きなものに見えないでしょうが、少なくとも訂正後の数値では上場は不可能です。
つまり上場することを目的とした粉飾決算と言われても文句が言えない数値なのです。
基本的に売上高数億円規模の会社では相当の成長性が期待されない限り赤字では上場できない。上場したいから上場できるものではないのです。
何が何でも上場したい。だから粉飾みたいな感じになってしまったことが非常に残念な話です。

上場しなければならないから粉飾ということについては同社の開示資料の第三者委員会報告書の17ページからがかなりの見ものです。
長文になりますのでここでは引用せずにリンクに留めておきますが、同社の追いつめられた状況を垣間見るにちょうど良い資料ともなろうかと思います。
いや、それくらいVCから出資を受けるというのは正直大変なんですよ。

下手すれば借入するよりも厳しい。

第三者調査委員会報告書の受領に関するお知らせ(クラウドゲート株式会社IR資料)

その辺では厳しい思いをしたのは事実ではあるものの、第三者割当先を含め、株主に対して虚偽の状態で株式の売買をさせていたと言っても文句は言えない。

粉飾とは恐ろしいもので、一度やってしまうと辻褄をあわせるために更なる粉飾に手を染めなければならない。
実際言ってしまうと、粉飾を乗り越えて正しい数値に戻すなんて奇跡でも起きない限り難しい。痕跡が残る分いつばれるかわからない時限爆弾を抱えて生きるようなものなのです。
その状況も先程の「第三者調査委員会報告書」を見ると判るかと思います。

また、訂正後の決算数値を見ると平成20年12月期に5.2億の債務超過、平成21年12月期に8.3千万円の債務超過とに期連続の債務超過となっており、これを上場廃止基準に照らし合わせると上場廃止に該当します。
二期連続の債務超過は上場廃止に該当するのです。そのため、虚偽記載もさることながら、実際の上場廃止基準に照らし合わせて上場廃止になったというのもあるのです。
故に、上場廃止されて当然という訳なのです。

○ とは言っても倒産した訳ではない

ある意味、ここからが重要なのですが、上場廃止=倒産ではないということだけはご留意ください。

倒産とは、

1.二度目の不渡りを出して銀行取引停止処分を受けた場合
2.自主整理する
3.裁判所に会社更生法の適用を申請する
4.裁判所に民事再生法の手続き開始を申請する
5.裁判所に破産を申請する
6.裁判所に特別清算の開始を申請する

これ以外は倒産とは呼べないので上場廃止=倒産だとは思わないでください。
しかし一般的に上場が社会的信用を得るとすればMBOやTOB等資本政策上の上場廃止を除く上場廃止は社会的信用を著しく貶めることではあるのは事実なので非常に厳しい状況であることは事実かと思われます。
また、クラウドゲート社においては平成23年12月期においても1.6億円余りの債務超過となっております。そのため財務面では非常に厳しい状況なのも事実です。

救いとすれば筆頭株主である株主が1.5億の貸付を行なっており、金融機関からの借入は約1億円と株主からの貸付を除くと現金預金とほぼ同水準の借入なので、企業経営上としては株主が余程強権を行使しない限りは即座に倒産ということにはならないと予測されます。
現状、筆頭株主が約70%の株式を保有しているので、株主が保有し続けて経営に関与している間は倒産までは至らないという予測も可能です。
そのため、仕事をされている方がいらっしゃったら現状確認とそのような状況であることを理解しておく必要があるということだけはここに述べておきます。

非常に不安定な状況ではあるものの、クラウドゲート社を例にして上場廃止=倒産ではないということをご理解頂ければと思われます。

———————

簡単に、上場廃止への経緯とクラウドゲート社の今後についてお話ししてまいりました。
正直、先日もとんでもない粉飾をしていながら上場廃止にならない会社もあり、この程度許せよって思う方も多いかと思われます。

が、その事例こそが異常・特別であり、これこそが正常なのです。
少なくとも二期連続債務超過があったということで上場廃止になって当然とも言えますので、その辺もご理解頂ければ。

しかし、こういう絵に描いたような粉飾が出てくるのもなぁとは思いますね。
願わくば、このように上場をめぐる悲劇が繰り返されないことを願いたいと思います。
結局幸せになるのがごく一部の上場と言うのだけはね・・・・・・。

今回は、Twitterのフォロワーさんにもクラウドゲート社に登録されているクリエイターさんも結構いらっしゃると言うことで簡単に取り上げてみました。
ご参考頂ければ幸いです。

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