山水電気の前代未聞のIR-お金が無くて株主総会ができない!-山水電気のIR資料から株主総会にかかる費用をまとめてみる


Parque Empresarial La Finca, Pozuelo
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以前、【売上15百万、赤字56億】というエキセントリックな決算を出した山水電気を取り上げましたが、昨日のIRでこれまた刺激的なIRを出してまいりました。

第75回定時株主総会の延期のお知らせ(山水電気IR)

株主総会は会社法の定めにより一定期間内に開催しなければならない定めとなっております。
特に上場会社の場合は有価証券報告書の提出が期末後3ヶ月以内に行わなければならないと定められており、株主総会で提出した(する予定)の計算書類と事業報告を添付して提出しなければならないため、3ヶ月以内の株主総会の開催が義務付けられております。12月決算の山水電気については3月末日までに株主総会を開催しなければならず、今回のIRでその株主総会の延期を発表いたしました。

ところがその理由が珍しいものでした。

「現時点に至るまで資金調達の目処が立っておらず、定時株主総会の招集及び開催に要する費用が工面できない状況であり、また、株主総会付議議案に関する取締役会を開催しておらず、付議議案の検討及び決定がなされていない状況です。」

つまり、株主総会を開催するための資金が捻出できないことに加えそもそも議案も決めていないから株主総会が開催できない。そして開催の目処も立てられないということです。
東証一部の上場企業としては驚きの発表でありました。少なくともお金が無くて株主総会開催できないっていうのは前例はありません。強いてあげれば名義書換手数料未払を理由に名義書換代理人(現:株主名簿管理人)契約を解除されたニューディール(元:リキッドオーディオ)が近い理由だったという記憶があった程度です。上場会社の責務として株主総会を開催できないというのはとんでもない事態なのです。

このことを受け、東京証券取引所は公益及び投資者保護のため山水電気を監理銘柄に指定いたしました。

確かに財務諸表を見るに過去の記事に記載の通り非常に厳しい状況にある訳で、年間売上以上の未払いがある状況ではにっちもさっちも行かない状況ではあると思います。
しかし、意外と株主総会の開催については世間様の会話を見ていても、株主総会って場所さえあれば開催できるという誤認もあるようですので、山水電気の場合どれくらいかかるのかというのをアバウトながら書いてみます。

恐らく株主総会に必要な費用を見ると今の財務諸表の状態では資金が捻出できないっていうのもお分かり頂けるかと思います。

山水電気の株主37,792名。これは非常に多い部類に入ります。
ちなみに関係ありませんが従業員は連結で5名とのことです。

まず株主総会を開催するためには、招集通知というものを発送する必要がございます。招集通知の発送は上場企業自らが行うことができず、証券市場に上場する企業は信託銀行等に株式事務を委託するように義務付けられております。山水電気は中央三井信託銀行に委託しております。そのため37,792名への発送にかかるコストが発生します。また、招集通知は印刷物であり、事業報告や財務諸表、付議議案を記載したものを送る必要があり、昨年の山水電気の招集通知は43ページです。更に議決権行使書を封入することを考慮すると発送代金を含めてだいたい400-450円程度かかると見込まれます。

そうするとこれだけで400円☓37,792名=15,116,800円
何と1,511万円という山水電気の前期の売上程度の費用がかかるのです。

更に、株主総会の場合終了した後、決議通知を送る義務もございます。
こちらは1枚程度多くて2ページ程度なので然程のコストを要するものではありませんがそれでも郵送料含め1名あたり150円程度かかります。

150円☓37,792名=5,668,800円

合わせると2,078万円。会場費なんてさほど大きなものではないのです。
それよりも印刷物にかかるコストが大きいのが正直なところでして。

ただですら2,200万円未払いの状況で、この2,000万円を超える資金の捻出など非常に難しいものがあります。
特に信託銀行も印刷会社も未払になりそうなもので受けてくれるほど慈善事業ではありませんから。

そういう意味で株主総会が開催するための資金が用意できないということです。
株主総会って意外と費用かかるのよ。

それ故に、本来は売上の小さい所はそれなりの株主数にしなければならないのですが、山水電気の場合は度重なる資金調達により株式数が増加し、にっちもさっちもいかなくなったんですよね。
株主数は増やすことは大切ですが、増やしすぎは無用な費用がかかるってことです。なので事業がうまくいってなくて株主が増加するように株式発行を重ねている会社がどんどん業績が悪化するという悪循環にもなるんですよね。

そういう付随費用は下手に借入を行うより非常に高額です。まぁこういうのを資本コストというわけですが、そこまで無茶な増資をするくらいなら借りるほうが平和とも言えるのですが、だいたい業績が悪化すると借入ができないので、こういうふうになってしまうのです。いやはや難しい。

ちなみに、山水電気の決算資料を見てみると

・決算関係費 22,041千円
・監査料   27,669千円
・法務費等  17,593千円
・株式費   32,999千円

が上場しているが故に支払っているコストだと思います。
科目の名称から見るに決算関係費というのは恐らく決算を外部に委託し、監査料は監査法人に、そして法務費等は弁護士費用、株式費というのが株主名簿管理人に支払っている費用だと思います。

即ち、1億円以上の費用を支払って上場維持しているのですね。1,500万円の売上で1億以上のコストを使って上場維持は確かに厳しい。
前期の販売費及び一般管理費が1億8,800万円でそのうちの1億が上場維持費用。これではより厳しくなるかと。

昨日のIRでさらなる苦境に立たされた山水電気はこの後どうなってしまうのか。
ちなみに本日の株価は1円でした。

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4 Responses to “山水電気の前代未聞のIR-お金が無くて株主総会ができない!-山水電気のIR資料から株主総会にかかる費用をまとめてみる”

  1. B型が苦手 より:

    はじめまして。

    経理関連の更新をいつも楽しみにしています。

    さて、本件の決算関係費、監査料、法務費等、株式費はいずれも金額的妥当性には疑問を感じますが、過去の振舞いのツケなんでしょうね。

    今さら引き受けたい人も少ないでしょうし。

    なんだかんだ言いながら、結局のところ、株価に反映される形で株主さんが負担している…

    「時価1円」効果で、株主がさらに増えていないか、ヤジ馬としては気になるところです。

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    • algernon より:

      >>B型が苦手さん

      はじめまして。アルジャーノンです。

      いつもありがとうございます。僕もB型が苦手さんのブログを拝見させて頂いております。

      正直金額的妥当性についてはコメントがしがたいところではありますが、株式費用につきましては株主の人数に比例しますので、この金額は妥当性はあると思っております。その他につきましても引き受けてくれる人が居ないことで足元を見られている可能性もありますね。

      株式の発行というのは結局資本コストの上昇を招くので、株券印刷業と言われるくらい株式を発行している会社が業績回復まで行かないのはこういう部分にも理由は隠されているのですよね。

      これからもよろしくお願いいたします。

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